はじめに
書道を嗜んでから何年たっただろうかと数えると意外とまだまだ。
先人の方々には尊敬の念しか禁じえないなと、墨を磨っている中、ふと墨について私が無学であるなとぼんやりと考えておりました。
せっかくならこの際、独学なりに調べたことをまとめてしまおうということで、墨について調べたことや体験したことなど、徒然に書いていこうかと思います。
書籍やサイトを参考にしている部分がありますので、既視感があるかもしれませんがご了承ください。
墨の色のいろいろ
先ずは墨とはどんなものか。
私なりの解釈では
「木などの植物が燃え残った時に残る炭を水に溶かした黒い液体」
でした。
ですが、調べていますと様々な材料から作られ、何色もあり、中には企業努力により「彩墨」と呼ばれる墨があると知り驚きます。
色の種類としては黒を除く
- 朱墨(しゅぼく):添削によく使う
- 青墨(せいぼく):青々とした墨。滲みの強い作品に使うことがある
- 白墨(はくぼく):背景が黒の時に使う墨
- 金墨(きんぼく):写経など作品に華を持たせるときに使う
- 銀墨(ぎんぼく):写経など作品に華を持たせるときに使う
「彩墨」で商品として販売されていた色は上から『白~赤~黄~青』の順に
株式会社呉竹より
- 白(しろ)
- 紅梅(こうばい)
- 臙脂(えんじ)
- 鮮光(せんこう)
- 岱赭(たいしゃ)
- 黄土(おうど)
- 黄(き)
- 青瓷(せいじ)
- 緑青(ろくしょう)
- 浅葱(あさぎ)
- 群青(ぐんじょう)
- 美藍(美藍)
12種類、調べるとありました。
これだけ鮮やかな種類の墨は、水墨画などの絵画に重宝されているそうです。
もちろん書道の作品を書くときにも使えるので、私もいずれ作品を書く際に色んな墨を使わせて頂こうかと思っております。
色の話はこれくらいにして、次に墨汁の話に移っていきます。
墨汁(ぼくじゅう)について
墨汁と言えば、私は小学校や中学校の習字の授業が思い出されます。
固形墨を使い始めるのが高校の16歳からでしたので、それまで約6年は墨汁だけを使っていました。
一応、ちょこんと習字セットに、今となっては「かな文字用」だったのかな?と思っている「小さめの固形墨」がありましたがそれは一切使わずに箪笥の肥やしになっていました( ´∀` )
その後も墨汁にはお世話になり、ホームセンターなどの文房具コーナーで売られている墨汁をメインとして使っています。
さて、そんな墨汁ですが実はいろんな種類のものがあるそうです。
書道道具をネット販売している書遊さんのサイトや書道の教科書などを参考にしますと下記の項目で分類されるそうです。
- 原料( 膠系 or 樹脂系)
- 煤(カーボンブラック or 松煙墨 or 油煙墨)
- 墨の濃度(固形分 10% 12.5% 18.5% 20.5% など)
この3種類が墨汁の質を決める要因だそうです。
そのほかに、香料や防腐剤などを混ぜながら水を加えていくことで墨汁になるそうです。
香料の代表として、龍脳(りゅうのう)や 麝香(じゃこう)があるそうです。
あまり言葉を知らないので、原料についても調べました。
原料補足
- 『膠(にかわ)』:動物からとれるゼラチンのようなもの。タンパク質の塊。
- 『樹脂系』:合成糊剤を指してプラスチックの親戚で糊になるもの。
墨補足
- 『カーボンブラック』は天然ガスや石油などを燃やしたときに出てきた煤(すす)。
- 『松煙墨』は赤松を燃やしてできる煤。また燃やす材料も、生木からとれるヤニ(樹液)か枯木で分かれるそうです。
- 『油煙墨』はひまし油や菜種油などの油を燃やしてできる煤。油はいろいろあるそうです。
とあるうんちくを紹介している方によると、
日本でのカーボンブラックは、ナフタリンを燃やしたときに出てくる煤を使うそうです。
※※※ナフタリンは殺虫剤、防虫剤に使われる芳香族化合物※※※
私がいま使っている墨汁は「株式会社 墨運堂」さんで販売されている【黒 玄宗】で、ホームセンターなどで販売されている墨よりも濃いため作品作りなどに重宝しています!
私が使っている玄宗は
原料:樹脂系
墨:10%
こちらの製品で、練習用からちょっとした作品作りに使用しています。
濃い目の墨汁になってきますと水を入れて濃度調整が必須になってきます。なので始めの方では10%~12.5%が適切なのかなと思います。
また墨の種類として作品を書いていくと、カーボンブラックよりも松煙墨や油煙墨の方が色に深みがあるなと感じます。
微妙な違いになるので淡墨、少し水を入れて薄くして比較してみると分かりやすいです。
値段の体感
値段の体感としては墨汁の量が多ければもちろん高くなりますが、
原料が 「樹脂系」→「膠系」
煤の種類が 「カーボンブラック」→「油煙墨」→「松煙墨」
この順番で値段が高くなっていく印象でした。
固形墨(こけいぼく)について
墨汁の次は固形墨。
固形墨は2種類に分かれるそうで、
- 日本で作られた「和墨(わぼく)」
- 中国で作られた「唐墨(どうぼく、からすみ)」
だそうです。
固形墨は歴史が古く、飛鳥時代、西暦610年ごろに作り方(製法)が伝わったそうです。
このころは遣隋使が派遣されていたため、私はつい隋墨(ずいぼく)って名前なんじゃないの??と考えていました。
その8年後の618年から唐の時代になったので、唐の名前を使っているうちに唐墨といった名称になったのではないかな?と妄想にふけっています。
気候や風土の違いで作り方が変わったことで墨の種類ができたみたいです。
大きな違いは膠の粘度で、和墨の方が唐墨より高いみたいです。
日本は多湿、唐は乾燥気味な気候のためかなと思っています。
そのためか、作品の色や雰囲気が違うそうです。
私自身は和墨のみですので比較できないのがちょっと残念。。。
材料は墨汁とほとんど同じで違いがあるとすれば液体か固体かの違いになります。
- 煤(カーボンブラック or 松煙墨 or 油煙墨)
- 膠(にかわ)
- 香料(龍脳(りゅうのう)や 麝香(じゃこう)など)
まだまだ調べていると墨の世界も奥が深いなと思いましたが、いったん調べきれたのが以上になるのでこれくらいにさせていただきます。
墨を販売している会社一覧
- 株式会社日本製墨書遊(にほんせいぼくしょゆう)
- 株式会社 墨運堂(こくうんどう)
- 株式会社 古梅園(こばいえん)
- 株式会社 呉竹(くれたけ)
おわりに
調べていく中で、書道の世界も奥が深いな~と、墨だけでこれだけの種類があり、会社が試行錯誤していることに驚きました。
加えて、墨に色のバリエーションがこれほどまでに多いのかと。材料や書いたときの微妙な墨色の違いなど、繊細な世界でありこれらを理解して様々な作品を書かれている先生方がかっこいいなとも感動していました。
ちょっと頭をよぎったのが
人口減少は続いている日本なので、それぞれの会社様は生存をかけて頑張っていくのだろうなということでした。
一般的な情報収集としてはこれくらいにして、これから色んな作品を書く際に、調べたことを参考にしていきたいなと思い、こちらの記事を終わらせて頂きます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。また次も読んで頂けると幸いです!!
では!!
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