日本の伝統的なインクの今

道具

はじめに

言葉で会話したり、手紙を書いたり、写真を撮ったり。
誰かに言葉を贈ったり。感情を伝えたり。
そして今ではパソコンでメールや写真、アプリを使って送り届けられ。

技術や文化が発展していく中、誰かに心を伝える手法が次々に発展していきました。
そして、昔から日本を含む東アジアでは墨が使われ、今では水性、油性の塗料など、様々なインクが発明されていきました。

今回はその中で日本が古くから使ってきた墨の話。

墨は固体と液体に、大きく2種類に分けられ
固体の墨。日本では1400年以上前から作られるようになったと言われています。

その墨の一種として知られる松を燃やして作っている「松煙墨」。
そんな松煙墨について、徒然に書いていきたいと思います。

松煙墨(しょうえんぼく)とは

「しょうえんぼく」ってなに???
なじみがないと何だろうかと思います。
習字や書道の授業につかう教科書にちらっとあるので見たことある人もいるかもしれません。

「しょうえんぼく」、松煙墨は松、特に赤松(あかまつ)の木皮や枝などを燃やすことで出てくる煤(すす)を集めて固めることで作られる墨になります。

墨汁とは違い、書いたときの墨の色が淡い青だったり、淡い紫に見えたりとする特徴があります。
また、淡い滲みの強い文字を書く際に、墨が纏まっていることも特徴としてあります。

ざっくりと固形の墨の作り方を綴ると

  1. 松の皮を燃やす。
  2. 煤と膠、香料を混ぜる
  3. こねる。こねる。こねる(粒子が均一になるように)
  4. 型に入れて形を整える。
  5. 100日~10年以上乾燥させる

細かくはもっとありますが、いったんはこれくらいに。

その中で
①の松の煤を生産する場所が
日本では和歌山県田辺市にある紀州松煙の堀池さん1か所だとそうです。

④の型、これを作る職人の方が京都に1か所1か所、1名の方がされているそうです。

墨型職人は、現在では後継者がいらっしゃるため2名といえるかも
そのため、墨を作る場所が1か所と今は継承がおこなわれつつのようです。

継承のあれこれ

墨職人の事業は斜陽産業とされています。

  • 日本人の人口が減っていること。
  • 「3K(きつい、汚い、危険)」に該当する業種であること。
  • コンピュータの普及で筆を使う機会が少なくなったこと。
  • 墨汁の方が使いやすいこと。

など、その他さまざまな理由で多くの人が書にかかわる時間が減っていることが理由になります。

これを書いている私自身も墨汁の使用頻度の方が多いのが現状です。

そのため、売り上げが減少している業界でもあり最盛期の奈良での業者数が44軒だったものが、現在では8軒以下に減少しているのが現状になっています。

~(省略)~

奈良製墨組合

ですが、伝統を絶やしてはいけないと奮闘している方がいるのも然り。
私自身、書を嗜むものとして、できる範囲で協力をしていきたい次第です。

おわりに

墨について学んでいくと、微妙な違い、奥ゆかしさ、などの繊細な箇所が際立つ道具なんだと実感させられることが多かったです。

ですが、時代の遷移とともに需要が少なくなり、供給も落ちる。これもまた事実なので寂しくもありました。

また、私自身、学校で学ばせて頂いた今までや、日本でこのように平和に生活させてもらっているのも墨という道具が土台が1つの要素としてとても重要な役割を担っているのだなと感じました。

これからの墨という伝統が続いていくように、私も何か積極的にかかわっていくことが大切になりますね。

参考リンク

応援される方
1400年続く「松煙墨」が途絶える危機。国産松煙の製造を継承する!

参考先

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